「肺高悪性度神経内分泌癌のPhenotype分類と新規分子標的治療開発に関する研究」について

原発性肺癌に対して切除術を実施した患者さん・ご家族の皆様へ

「肺高悪性度神経内分泌癌のPhenotype分類と新規分子標的治療開発に関する研究」について

はじめに

 鳥取大学医学部附属病院胸部外科では、2005年1月1日から2019年12月31日までに原発性肺癌で根治切除術を実施され、病理学的に肺高悪性度神経内分泌癌(小細胞肺癌および肺大細胞神経内分泌癌)と診断された患者さんを対象に、カルテ、手術記録、看護記録等(以下、「カルテ等」といいます)の診療情報から得られる情報/検体(切除された組織検体)をもとに研究を実施しています。
 この研究は鳥取大学医学部倫理審査委員会の承認を経て、医学部長の承認を受けており、鳥取県・島根県の医療機関と協同して行っています。詳細は以下のとおりです。

1. 研究概要および利用目的・方法

 本研究では、2005年1月1日から2019年12月31日までの期間に、鳥取大学医学部付属病院、鳥取県立中央病院、鳥取県立厚生病院、米子医療センター、松江医療センター、松江赤十字病院において、原発性肺癌に対して根治切除手術(肺全摘、肺葉切除、肺区域切除、肺部分切除など、およびリンパ節郭清)を受け、病理学的に肺高悪性度神経内分泌癌(小細胞肺癌および肺大細胞神経内分泌癌)と診断された患者さんのカルテ、手術記録など(以下、「カルテ等」といいます)から情報を集めさせていただき、この疾患を有する患者さんの「背景的な特徴」を調査します。また、それ以外にも、「手術後の治療経過」、「術後再発を起こしやすい患者さんの背景的な特徴」、「再発や転移、生存の状況」についても調査を予定しています。さらに、手術時に得られた腫瘍組織を使用し、「抗がん剤治療と薬物感受性バイオマーカーとの関連性」についても調査を予定しています。

 すべての情報は、鳥取大学医学部附属病院/研究代表施設に電子的に送付され、集計されます。また、検体(切除組織)は、鳥取大学医学部附属病院/研究代表施設に送付され、研究代表施設でASCL1、NEUROD1、YAP1、PAU2F3などの免疫組織化学検査を行います。なお、情報/検体(腫瘍組織)は、研究代表者/研究責任者が責任を持って保管、管理します。

 本研究に参加される患者さんは、他の研究参加者への個人情報保護や本研究の独創性の確保に支障がない範囲で、研究計画書及び研究の方法についての資料を入手又は閲覧することができます。希望される方は、遠慮なく問合せ窓口にお申し出ください。

2. 取り扱う情報/検体(測定項目)

 患者さんのカルテ等の診療情報から以下の項目を集めさせていただきます。

【患者さんの情報】
手術時年齢、性別、身長、体重、喫煙歴、確定診断日、診断方法、PS、腫瘍マーカー(CEA、ProGRP)、血圧、脈拍数、心電図、呼吸機能所見、CT所見、PET/CT所見、臨床診断(Stage)、合併症、既往歴など

【手術時の情報】
手術アプローチ法、病変部位、リンパ節郭清法、手術時間、出血量、根治度、術中・術後の合併症、胸腔ドレーン留置期間、入院期間、病理組織型、リンパ節転移の有無など

【術後補助治療、再発後治療内容】
薬物治療のレジメン、実施期間、完遂率など

 手術時に得られた腫瘍組織を、組織の特徴を分類するために以下の測定目的で使用させていただきます。
 腫瘍組織:ASCL1、NEUROD1、YAP1、POU2F3などのタンパク発現

3. 研究期間

 この研究は、鳥取大学医学部長が研究の実施を許可した日から2025年12月31日まで行う予定です。

4. 個人情報保護の方法

 患者さんの情報/検体(腫瘍組織)は、研究責任者が責任をもって保管、管理します。また、氏名、イニシャル、住所、電話番号、カルテ番号などの直ちに個人を識別できる個人情報は匿名化*され、本研究では匿名化された情報を使用、提供します。このようにして患者さんの個人情報の管理については十分に注意を払います。

*匿名化について:本研究にご提供いただく情報については、患者さんの氏名、住所、電話番号、カルテ番号など、患者さん個人を直ちに特定できるような情報をすべて削除し、代わりにこの研究用の登録番号をつけます。なお、研究の過程で情報がどの患者さんのものかを知る必要がある場合も想定されます。その場合に備えて、情報と患者さん個人を結びつけることのできる対応表を作成させていただきますが、この対応表は研究責任者によって鍵のかかる保管庫で厳重に管理されます。
5. 研究への情報提供による利益・不利益

 利益・・・・今回の研究に情報をご提供いただいた患者さん個人には、特に利益と考えら
       れるようなことはございませんが、研究の成果は、将来の肺高悪性度神経内
       分泌癌の治療法の進歩に有益となる可能性があります。なお、情報を使用さ
       せていただいた患者さんへの謝礼等はありません。

 不利益・・・カルテ等からの情報収集のみであるため、特にありません。

6. この研究終了後の情報の取り扱いについて

 今回、集めさせていただく患者さんの情報/検体(切除組織)が医学の発展に伴い、他の病気の診断や治療に新たな重要な情報をもたらす可能性があります。このため、患者さんの情報/検体(切除組織)は、この研究終了後も保存させていただき、他の研究に使用させていただくことがあります。その場合は、新たに研究計画をたてて研究に参加する医療機関の倫理審査委員会での審査を経て、他の研究に使用させていただきます。
 情報/検体(切除組織)は、当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日又は当該研究の結果の最終の公表について報告された日から3年を経過した日のいずれか遅い日までの期間保存します。保存期間終了後は、患者さん個人を特定できない状態にして適切に廃棄します。

7. 研究への情報使用の取り止めについて

 患者さん個人の情報/検体(切除組織)を研究に用いられたくない、または鳥取大学医学部附属病院/研究代表施設への情報/検体(切除組織)の提供を停止したい場合には、いつでも取り止めることができます。取り止めを希望された場合でも、担当医や他の職員と気まずくなることはありませんし、何ら不利益を受けることはありませんので、下記【問い合わせ窓口】までお申し出ください。
 取り止めの希望を受けた場合、患者さんの情報を使用することはありません。この場合には、個人を特定できない状態にして、速やかに廃棄させていただきます。
 しかし、取り止めを希望した時点で、すでに研究成果が論文などで公表されていた場合のように、結果を廃棄できない場合もあります。

8. 当該臨床研究に係る資金源について

 本研究は、研究責任者の科学研究費補助金で行っており、特定の企業・団体等からの支援を受けて行われるものではなく、利益相反状態にはありません。

9. 研究成果の公表について

 研究成果が学術目的のために論文や学会で公表されることがありますが、その場合も、患者さんの個人が特定される情報は全て削除して公表します。情報の秘密は厳重に守られますので、第三者に患者さんの個人情報が明らかになることはありません。

10. 知的財産権の帰属について

 本研究の結果、特許などの知的財産が生じる可能性もございますが、その権利は鳥取大学に帰属し、あなたには帰属しません。

11. 研究代表施設および研究代表者の情報

 春木 朋広  鳥取大学医学部附属病院 胸部外科 講師
   〒683-8503 鳥取県米子市西町36-1
   TEL:0859-38-6737/FAX:0859-38-6730

12. 問い合わせ窓口

 本研究についてのご質問だけでなく、患者さんの情報/検体(切除組織)が研究に用いられているかどうかをお知りになりたい場合や、患者さんの情報/検体(切除組織)の使用を望まれない場合など、この研究に関することは、下記の窓口までお問い合わせ下さい。

【研究責任者】
 中村 廣繁  鳥取大学医学部附属病院 胸部外科 教授
   〒683-8503 鳥取県米子市西町36-1
   TEL:0859-38-6737/FAX:0859-38-6730

*この研究に関する情報は、鳥取大学医学部附属病院のホームページに掲示しております。
 (URL:http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/introduction/3107/)

13. 研究実施機関および研究責任者

 中村 廣繁 鳥取大学医学部附属病院 胸部外科 教授
 吹野 俊介 鳥取県立厚生病院 外科 副院長
 前田 啓之 鳥取県立中央病院 呼吸器・乳腺・内分泌外科 部長
 荒木 邦夫 松江医療センター 呼吸器外科 外科系診療部長
 三和 健  松江赤十字病院 呼吸器外科 部長
 万木 洋平 米子医療センター 胸部・乳腺外科 医長