ボツリヌス療法外来

ボツリヌス療法外来のご案内

診療:月曜日 午前9時~12時
予約受付:0852-24-7671 地域連携室まで(平日午前8時30分~午後5時15分)
※診察は予約制となっております。あらかじめお電話でご予約ください。

 ボツリヌス療法外来では、主に脳卒中、頭部外傷、脊髄損傷、脳性まひ等による痙縮(筋肉のつっぱり)に対して、筋肉の緊張をやわらげる薬剤(ボツリヌス毒素)を注射して痙縮を軽減させる治療を行います。 診察のうえ注射の適応があるかどうかを判断し、適応があれば投与部位、投与量など検討して薬剤を発注します。月曜日の外来を受診して頂きますが、実際に注射を打つのは後日(薬剤が届いた後の火曜日の午後)となりますのでご了承下さい。 注射は外来または入院にて行います。入院の場合は、1週間程度の集中的なリハビリテーションを行います。
 なお、美容整形目的の保険外診療については、当院では行っておりません。

 

1 痙縮について

 痙縮とは、筋肉に力が過剰に入りやすくなってしまい、手足が動かしにくくなる状態を指します。手指が握ったままになり開きにくい、肘が曲がったまま伸びない、 足がつっぱったり、足先が足の裏側の方に曲がったりして動かしにくい、などの症状が見られます。痙縮の状態を放っておくと、筋肉が固まって関節の動きが制限され、 「拘縮」の状態に進行してしまうことがあるため、早めの治療が大切となります。

2 ボツリヌス療法について

 ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌス毒素)を有効成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、 ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。ボツリヌス毒素には、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があり、筋肉の緊張をやわらげることが出来ます。当院では超音波診断装置を用いることにより、 より正確かつ安全に注射を行うことが出来ます。


 注射を打っただけで動かなかった手足が動くようになるわけではなく、あくまでも硬くなった筋肉をやわらかくすることで、適切なリハビリテーションを行いやすくするものであり、 注射の後にしっかりとしたリハビリテーションを行うことが重要です。当院では、必要に応じて入院にて1週間程度の集中的なリハビリテーションを行います。

    効果としては、以下のようなものが期待されます。
  • 手足の筋肉がやわらかくなり、動かしやすくなることで、日常生活の動作が行いやすくなる(手洗い、食事、歩行・散歩など)
  • リハビリテーションを行いやすくなる
  • 拘縮(関節が固まって動きが制限される)の状態への進行を予防する
  • 痙縮による痛みをやわらげる
  • 着替えの介助、衛生ケアなどがしやすくなり、介護の負担が軽くなる

    一時的な副作用としては、以下のような症状が現れることがあります。これらの症状の多くが一時的なものですが、症状が現れた場合には医師に相談して下さい。
  • 注射部位がはれる、赤くなる、痛みを感じる
    ごく稀に見られる副作用としては、以下のような症状があります。これらの症状が現れた場合には、すぐに医師に相談して下さい。
  • 体がだるい、力が入らない、立っていられない
  • 吐き気がする
  • 呼吸が苦しい
  • 全身が赤くなる
  • 物が飲み込みにくい
  • けいれんが起こる
 この他にもボツリヌス療法を受けた後にいつもと違うと感じたことがありましたら、医師に相談してください。

    次のような方は投与が出来ない、もしくは注意が必要となりますので、事前にご相談下さい。
  • 全身性の筋肉の脱力などの病気(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症など)がある方
  • 以前、同じ成分の薬を使用し、湿疹が出るなどのアレルギーを経験したことがある方
  • 現在ボツリヌス療法を受けているか、過去に受けたことがある方
  • 現在使用中の薬がある方(筋弛緩薬、アミノグリコシド系などの抗生物質、パーキンソン病治療薬、精神安定剤などの薬と同時に使用すると、効果が強く現れることがあるため)
  • 妊婦または妊娠している可能性のある方、授乳中の方

3 治療の進め方

 ボツリヌス療法の効果は、注射後2~3日目から徐々にあらわれ、通常3~4ヵ月間持続します。その後、数週間で効果は徐々に消えてしまうので、治療を続ける場合には、 年に数回、注射を受けることになります。ただし、効果の持続時間には個人差があるので、医師と相談をしながら治療計画を立てていきます。初めての治療で理想とする効果を期待するのではなく、 繰り返し治療を重ねることで、最適な治療(投与量・投与部位)を見つけていきます。

  1. お電話でご予約後に外来を受診して頂き、診察のうえ注射の適応があるかどうかを判断します。
  2. 注射の適応がある場合、痙縮によって困っていること等を医師と相談のうえ治療の目標を決めて、投与部位、投与量など検討し、初回投与日を決定します。
  3. 入院または外来にて初回の投与を行います。入院の場合は、1週間程度の集中的なリハビリテーションを行います。
  4. 外来を受診して頂き、副作用が出ていないか、治療後の症状などについて確認します。症状に応じて、次回の投与スケジュールの相談をします。投与の間隔は10~12週間以上空ける必要があります。
  5. 2回目以降は上記の繰り返しになります。

4 費用について

 ボツリヌス療法は上下肢痙縮に保険適応がありますが、注射薬そのものが高額なため、身体障害者手帳の受給者証をお持ちでない方は、費用が高額になる場合があります。 注射を行う部位や範囲及び自己負担の割合によっても異なりますが20,000円程度から100,000円程度になる場合があります。高額療養費支給制度や福祉医療費助成制度等の医療費助成制度もありますのでご相談下さい。

 

5 外来担当医

診療科
ボツリヌス療法外来 来海 壮志